職務の内容等を勘案した賃金の決定

職務の内容等を勘案した賃金の決定

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者(均等待遇の対象となる派遣労働者及び協定対象派遣労働者を除く。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(職務の内容に密接に関連して支払われる賃金以外の賃金を除く。)を決定するように努めなければならないこととされています(労働者派遣法第30条の5)。

均衡待遇を確保する対象となる派遣労働者の賃金については、派遣先に雇用される通常の労働者との間において、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該賃金の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないこととされています。

不合理と認められない相違がある中で、派遣労働者の納得感の向上、就業の促進等を図るためには、働き又は貢献に関する事情を考慮して賃金を決定するように努めることが望ましいことから、均衡待遇の確保の上乗せの措置として、職務の内容等を勘案して派遣労働者の賃金を決定する努力義務を課すこととしたものであります。

なお、均等待遇の対象となる派遣労働者については、派遣先に雇用される通常の労働者と同様の賃金が担保されることから、職務の内容等を勘案した賃金の決定の対象とはしていません。また、協定対象派遣労働者については、職務の内容等の向上があった場合に賃金が改善されるもの等の要件を満たす賃金の決定方法を労使で合意して労使協定に定めて遵守することとされていることから、職務の内容等を勘案した賃金の決定の対象とはされていません。

職務の内容等を勘案した賃金の決定の対象外となる賃金

通勤手当家族手当住宅手当別居手当子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く。)については、職務の内容等を勘案した賃金の決定の対象外となることとされています。

具体的な措置の内容

派遣労働者の「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し」とは、派遣労働者の働きや貢献に見合った賃金決定がなされるよう、働きや貢献を評価する要素である職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験を勘案要素の例示として挙げているものであること。勘案要素のうち、その要素によることとするかは、各派遣元事業主の判断に委ねられるものであるが、その勘案については、労働者派遣法第31条の2第4項による説明を求められることを念頭に、どの要素によることとしたのか、またその要素をどのように勘案しているのかについて客観的かつ具体的な説明ができるものとされるべきであることとされています。

「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項」を勘案した措置の例としては、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を踏まえた

  1. 賃金水準の見直し、
  2. 昇給・昇格制度や成績等の考課制度の整備、
  3. 職務手当、役職手当、成果手当の支給等

が考えられること。例えば、職務の内容を勘案する場合、責任の重さや業務の困難度で賃金等級に差を設けることなどが考えられるが、職務の内容等を勘案した賃金の決定の趣旨は、この措置の結果として、派遣労働者の中で賃金の差を生じさせることにあるのではなく、職務の内容等を適切に賃金に反映させることにより、結果として通常の労働者の待遇との均衡を図っていくことにある点に留意すべきであることとされています。

「派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ」とは、派遣労働者の職務の内容が同一である派遣先に雇用される通常の労働者だけではなく、職務の内容が異なる派遣先に雇用される通常の労働者との均衡も考慮することを指しているものであること。具体的には、派遣先に雇用される通常の労働者の賃金決定に当たっての勘案要素を踏まえ、例えば、職務の内容が同一の派遣先に雇用される通常の労働者の賃金が経験に応じて上昇する決定方法となっているならば、派遣労働者についても経験を考慮して賃金決定を行うこととする等、「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項」に応じた待遇に係る措置等を講ずることが望まれることとされています。

この措置を講ずる時期については、派遣元に雇用される通常の労働者の定期昇給や賃金表の改定に合わせて実施すること等が考えられるが、例えば、労働者派遣契約を更新する際に、あわせて賃金の決定方法について均衡を考慮したものとなるよう見直すことも考えられることとされています。。

関連記事

  1. 派遣先均等・均衡方式

    派遣先均等・均衡方式における「均等待遇」、「均衡待遇」とは?