派遣労働者の待遇を決定するための、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の概要を確認致しましょう。
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、
- 「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、
- 「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されました。このうち、2.「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。
派遣労働者の同一労働同一賃金は、派遣労働者の待遇を確保するために派遣元事業主はいずれかの方式を選択して適正に運用しなければなりません。
目次
派遣先均等・均衡方式(労働者派遣法第30条の3)
派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る方式です。
- 均等待遇あるいは均衡待遇が求められるのは、基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練、安全管理等の全てであり、これら待遇のそれぞれについて、派遣先の通常の労働者との間に「不合理な待遇差」がないようにすることが求められます。
均等待遇(労働者派遣法第30条の3第2項)
派遣労働者との派遣先の通常の労働者との間で、
- 職務の内容
- 職務の内容・配置の変更の範囲
が同じ場合は、派遣労働者であることを理由として差別的取扱いを禁止するというものです。
均等待遇では、待遇について同じ取り扱いをする必要があります。同じ取り扱いのもとで、能力、経験等の違いにより差がつくのは構いません。
均衡待遇(労働者派遣法第30条の3第1項)
派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、
- 職務の内容
- 職務の内容・配置の変更の範囲
- その他の事情
を考慮して、不合理な待遇差を禁止するというものです。
労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)
派遣元において、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数代表者と一定の要件を満たす労使協定を締結し、その協定に基づいて派遣労働者の待遇を決定する方式です。
- 労使協定に定める「賃金」については、厚生労働省職業安定局長通知で示される、派遣労働者の同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上になるよう決定する必要があります。
- 「賃金以外の待遇」については、派遣元の通常の労働者(派遣労働者を除きます。)と比較して「不合理な待遇差」が生じないようにすることが求められます。
- 「労使協定方式」によっても、派遣先が行う一部の教育訓練及び福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室)の利用については、派遣先の通常の労働者との均等・均衡が求められます。
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