派遣労働者の同一労働同一賃金において、派遣労働者の待遇改善のため、派遣元事業主が労使協定方式を選択する場合に、労使協定を締結する際の過半数代表者の決め方が不適切な場合は、労使協定での待遇決定ができなくなります。
そこで、労使協定を締結するにあたり、過半数代表者の選出するにあたっての5つのポイントを確認していきましょう。
目次
ポイント① 過半数代表者となることができる労働者の要件があります。
- 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと
管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。過半数代表者の選出に当たっては、管理監督者に該当する可能性のある人は避けた方がよいでしょう。
ポイント② 過半数代表者を選出するための正しい手続きが必要です。
- 派遣労働者の同一労働同一賃金の労使協定を締結するために過半数代表者を選出することを明らかにしたうえで、投票・挙手などにより選出すること
選出手続きは、投票や挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが必要です。また、選出に当たっては、派遣労働者などを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにしましょう。
会社の代表者が特定の労働者を指名するなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出された場合、その協定は無効です。
派遣元事業主は、労働者が過半数代表者であることなどを理由として、労働条件について不利益な取り扱いをしてはいけません。
ポイント③ メールなどで労働者の意向を確認する場合には、意思の確認に特に注意が必要です。
- 派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知を行い、そのメールに対する返信のない人を信任(賛成)したものとみなす方法は、一般的には、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられること
ポイント④ 派遣労働者の意思の反映をすることが望ましいです。
- 過半数代表者を選任するための投票などと併せて意見や希望などを提出してもらい、これを過半数代表者が派遣元事業主に伝えることなどにより、派遣労働者の意思を反映することが望ましいこと
派遣労働者は、自らの待遇について、派遣元事業主と意見交換する機会が少ない場合があります。そのため、過半数代表者を選任するための投票などと併せて意見や希望などを提出してもらい、これを過半数代表者が派遣元事業主に伝えることなどにより、派遣労働者の意思を反映することが望ましいです。
ポイント⑤ 過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう配慮することが必要です。
- 例えば、過半数代表者が労働者の意見集約などを行う際に必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む)や事務スペースの提供を行うことなどの配慮が必要
派遣元事業主は、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約などを行う際に必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む)や事務スペースの提供を行うことなどの配慮をしなければなりません。
次のような実施方法は特に注意が必要です。
- メール(イントラネット、給与明細等)で一方的に送り付けるのみで、その後に意思の確認をしていない。
- 意見がなかった者を全労働者数から除いている。
- 労働基準法の労使協定の過半数代表者の選出と一緒に行っているが、労働者派遣法の過半数代表者の選任であることを明らかにしていない。
労使協定方式の構築・労使協定書の作成サポート・コンサルティング
HRストーリーズ社会保険労務士法人では、派遣法30条の4に基づく労使協定方式の構築・運用コンサルティングサービスを展開しております。具体的には、労使協定作成、協定締結、そして労使協定の運用に至る迄のコンサルティング(ご相談や問題解決を導く助言等。)や労使協定そのものの作成代行その他、労使協定に紐づく、派遣社員の賃金等級制度や評価制度の構築に至るまで、トータルにサービス展開致しております。