短時間・有期雇用労働者である派遣労働者については、労働者派遣法及び短時間・有期雇用労働法の両方が適用されます。このため、基本的に、労働者派遣法において、派遣先に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違(協定対象派遣労働者にあっては、労働者派遣法第30条の4第1項の協定が同項に定められた要件を満たすものであること及び当該協定に沿った運用がなされていることの有無をいう。以下同じ。)が問題になるとともに、短時間・有期雇用労働法において、派遣元事業主に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違が問題になります。
このことから、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者の待遇のうち、職務の内容に密接に関連するものに当たらない待遇については、派遣先に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違に加えて、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者と派遣元事業主に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違が問題になると考えらます。
一般に、通勤手当及び出張旅費、食事手当、単身赴任手当、福利厚生(福利厚生施設を除く。)については、職務の内容に密接に関連するものに当たらないと考えられています。
他方で、職務の内容に密接に関連する待遇については、派遣労働者が派遣先の指揮命令の下において派遣先の業務に従事するという労働者派遣の性質から、特段の事情がない限り、派遣元事業主に雇用される通常の労働者との待遇の相違は、実質的に問題にならないと考えられています。
職務の内容に密接に関連する待遇に当たるか否かは、個々の待遇の実態に応じて判断されるものですが、例えば、基本給、賞与、役職手当、特殊作業手当、精皆勤手当、時間外労働手当、深夜労働手当及び休日労働手当、教育訓練、安全管理に関する措置及び給付については、一般に、職務の内容に密接に関連するものと考えられています。
なお、これらの点については、協定対象派遣労働者であるか否かによって異なるものではないと考えられています。
ただし、職務の内容に密接に関連する待遇であっても、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡とは異なる観点から、短時間・有期雇用労働者ではない派遣労働者に対して、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者よりも高い水準の待遇としている場合には、短時間・有期雇用労働者ではない派遣労働者と短時間・有期雇用労働者である派遣労働者との間の待遇の相違について、短時間・有期雇用労働法において問題となることがあると考えられています。
また、職務の内容に密接に関連するものに当たらない待遇であっても、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者と短時間・有期雇用労働者でない派遣労働者が異なる派遣先に派遣されている場合において、待遇を比較すべき派遣先に雇用される通常の労働者が異なることにより待遇に相違がある場合には、当該待遇の相違は、短時間・有期雇用労働法において問題になるものではないと考えられています。