労働者派遣事業を運営するうえで、毎年確実に対応しなければならないものの一つが「マージン率の情報提供」です。
マージン率は、労働者派遣法に基づき派遣元事業主に情報提供義務が課されている重要事項であり、対応が不十分な場合には行政指導や是正勧告の対象となることもあります。
派遣に強い社労士の立場から、制度の趣旨から実務上の注意点までを整理して解説します。
1.マージン率の情報提供義務の根拠
マージン率の情報提供義務は、労働者派遣法第23条第5項および同施行規則第18条の2に基づくものです。
派遣元事業主は、毎事業年度終了後、必要とされる情報を派遣労働者および派遣先、一般の閲覧者に対して公開しなければなりません。
その中でも特に注目されるのが、派遣料金に占めるマージン率です。
2.マージン率とは何か
マージン率とは、簡単に言うと次の算式により算出されます。
マージン率 =
(派遣料金の平均額 - 派遣労働者の賃金額) ÷ 派遣料金の平均額 × 100
ここでいうマージンには、派遣会社の「利益」だけでなく、以下のような費用も含まれている点が重要です。
- 社会保険料(事業主負担分)
- 有給休暇費用
- 福利厚生費
- 教育訓練費
- 派遣社員の募集・管理コスト
- 営業・事務部門の人件費
単なる「中抜き率」ではないことを、派遣労働者や派遣先にきちんと説明できるかどうかが、信頼性を大きく左右します。
3.情報提供の方法とタイミング
情報提供の方法は、主に以下のいずれか(複数併用可)となります。
- 自社ホームページへの掲載
- 事業所内での掲示・備え付け
- 派遣登録時や契約時の書面交付
公開時期は毎事業年度終了後、遅滞なく行う必要があります。
実務上は、事業報告書の提出内容と完全に一致していることが不可欠であり、数値のズレは非常にリスクが高いポイントです。
4.実務上よくある指摘・誤り
行政調査や是正指導で多いのが、次のようなケースです。
- マージン率の算定方法が法令と異なる
- 平均額の対象期間の取り違え
- ホームページ掲載はあるが、最新年度に更新されていない
- 事業報告書の数値と不一致
- 表示内容が抽象的で必要事項を満たしていない
特に近年は、情報提供の「質」も見られる傾向にあり、「掲載していればよい」という考え方は通用しなくなっています。
5.マージン率は「説明力」が問われる時代へ
マージン率の情報提供は、単なる法令対応ではありません。
派遣先企業に対する営業場面や、派遣労働者からの質問において、
- なぜこのマージン率なのか
- 何に使われているのか
- 賃金還元との関係はどうなっているのか
といった点を合理的に説明できることが、派遣会社の評価に直結します。
労使協定方式との関係性や、教育訓練・福利厚生への投資との整合性も含め、全体として一貫した運用が求められます。
6.派遣に強い社労士によるトータルサポートの重要性
マージン率の情報提供は、
✅ 事業報告書
✅ 派遣契約書
✅ 労使協定(派遣法30条の4第1項に基づく労使協定)
✅ 就業規則
✅ 社内運用ルール
これらと密接に連動しています。
一部だけを個別対応すると、かえってリスクを高めてしまうことも少なくありません。
当事務所では
- 労働者派遣事業に特化した
契約書・運用書式の提供 - 事業報告・マージン率公表を見据えた
実務コンサルティング - 行政調査対応を前提とした
制度・書式の整合性チェック
をワンストップでご提供しています。
「派遣法対応に不安がある」「今の運用が正しいか確認したい」、そのような派遣事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。派遣に強い社労士として、実務に耐える派遣事業運営を全力でサポートいたします。
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