労働者派遣契約の締結に当たっては、必要な契約事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければなりません。(労働者派遣法第26条第1項、則第22条)。

法で定める契約事項の定めは、労働者派遣を行うに当たっての必要最低限のものであり、それ以外の派遣料金、債務不履行の場合の賠償責任等の定めについては当事者の自由に委ねられています。

労働者派遣契約の契約事項

労働者派遣契約には、次の事項を定めなければなりません。

労働者派遣契約の契約事項
  1. 派遣労働者が従事する業務の内容
  2. 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(則第22条第1号)
  3. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
  4. 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
  5. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
  6. 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
  7. 安全及び衛生に関する事項
  8. 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
  9. 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当(労働基準法第26条の規定により使用者が支払うべき手当をいいます。)等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項(労働者派遣契約の解除に関する事項)
  10. 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項
  11. 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項(則第22条第2号)
  12. 労働者派遣の役務の提供を受ける者が⑤の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は⑥の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数(則第22条第3号)
  13. 派遣元事業主及び派遣先との間で、派遣先が当該派遣労働者に対し、派遣先が設置及び運営する物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているもの(給食施設、休憩室及び更衣室を除く。)の利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与、教育訓練その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、当該便宜の供与に関する事項
  14. 労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣の終了後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者を雇用する場合に、その雇用意思を事前に労働者派遣をする者に対し示すこと、当該者が職業紹介を行うことが可能な場合は職業紹介により紹介手数料を支払うことその他の労働者派遣の終了後に労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置(則第22条第5号)。
  15. 派遣労働者を協定対象派遣労働者(労働者派遣法第30条の4第1項の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者をいう。)に限定するか否かの別(則第22条第6号)
  16. 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別(則第22条第7号)
  17. 派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項

派遣労働者の人数の定め

派遣労働者の人数の定めは次により行わなければなりません(則第21条第1項)。

  1. ①から⑯に掲げる就業条件の組合せが1つの場合は、当該労働者派遣に係る派遣労働者の人数
  2. ①から⑯に掲げる就業条件の組合せが複数の場合は、当該組合せごとの派遣労働者の人数

派遣労働者の人数とは、当該就業条件の組合せで常時居ることとなる人数であり、複数の者が交替して行うこととなる場合であってもその複数の者分の人数を定めるものではありません。例えば、午前と午後で1人ずつ就業することとなる場合は1人となります。

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